「芸術から眺めるこども、こころ、せかい
Art and Children, Mental Health and Experimental Learning」コース
Series 1. 多様な人々とのまなびとこころ
芸術は、私たちの身体や心にどのような作用をもたらすのでしょうか。また、幅広い年齢層や国籍、障がいをもつ人など、多様な人々とともに芸術を体験することで、どのような新たな学びが生まれるのでしょうか。Series.1では、AITが2016年より実施する、こどもや若者とアートを通して身の回りの世界を発見する楽しさ、複雑さを学び合うプロジェクト「dear Me」の活動や思考を紹介しながら、近年注目される「アート処方」の実践をはじめ、進歩主義教育の歴史なども参照し、芸術体験を通した”学び”の基本となる概念について考えます。
*本コースは、シリーズ1からの視聴をおすすめしますが、シリーズの順番に関わらず、興味・関心のあるテーマからお申し込みいただけます。
レクチャータイトル
①イントロダクション:芸術・まなび・こころを考える
②こどもと大人の作品鑑賞とワークショップ
③アート処方と多様な人々とのアートの体験
④精神医療とアートを考える
⑤幼児教育の歴史と芸術:ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチと「直観教授法」
⑥幼児教育の歴史と芸術:マリア・モンテッソーリと宇宙教育
インストラクター:堀内 奈穂子(AITキュレーター / dear Meディレクター)
レクチャー数:6 [ 各20 - 30分 ]
使用言語:日本語
イントロダクション:芸術・まなび・こころを考える
「芸術・まなび・こころ」の関係性を捉えるため、本シリーズ全体を通して「美術史・芸術表現」「進歩主義教育・実験的教育の歴史」「福祉・メンタルヘルス」の3つを軸に事例や歴史を紹介します。まず第一回目では、dear Meプロジェクトがスタートしたきっかけや理念、その活動を中心に、ポール・セザンヌやパブロ・ピカソなどといったこどもの表現や考えに魅了された芸術家の活動を紹介します。さらに、芸術的な実践を参照しながら行われた教育の歴史、また現代のメンタルヘルスをめぐる課題に迫ります。
時間:13分52秒
こどもと大人の作品鑑賞とワークショップ
AITが2016年より実施する、dear Meがこれまでに行ってきた美術館での鑑賞プログラムや、児童福祉施設等で行ったワークショップなどの具体的な事例、参加したこどもや大人、ファシリテーターの生の声を紹介します。それらのリアクションから、あらためてこどもと大人がアートを通して学び合い、育み合う意義について考えます。
時間:22分30秒
アート処方と多様な人々とのアートの体験
カナダでは近年、ストレスや不安を緩和する一つの「処方」として芸術鑑賞が取り入れられ、医療関係者と美術館が協働し、芸術作品の没入的な鑑賞体験などを患者に提供しています。特に近年イギリスやカナダで実施されている「文化的処方」や「アート処方」などの実例を紹介しながら、芸術や文化体験が心の健康や幸福度に作用する可能性について考察します。
時間:23分06秒
精神医療とアートを考える
芸術と心の健康を実践していくには、医療や教育分野の専門家との協働やネットワークづくりは欠かせません。dear Meでは近年、こうしたネットワークの確立を目指し、国内外で芸術と精神医療をつなぐ先駆的な取り組みを行う団体や、創造的なアプローチを模索する精神医療施設との協働を行ってきました。ここでは、dear Meが過去に行ったプロジェクトを紹介しながら、多様な人々との芸術体験について考えます。
時間:22分46秒
幼児教育の歴史と芸術:ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチと「直観教授法」
18世紀以降、児童中心主義や直観教授などの実践が生まれる中で、こどもたちの自発的な学びを促す教育法が模索されてきました。そうした学びの視点には芸術とのつながりも見られます。ここでは、孤児院での教育に情熱を傾け日本の教育界にも多大なる影響を与えたスイスの教育家ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチについて取り上げながら、事物の観察を通した学びの歴史を探ります。
時間:23分06秒
幼児教育の歴史と芸術:マリア・モンテッソーリと宇宙教育
実験的な幼児教育の歴史の中には、さまざまな色や形、大きさなどの教具を通してこどもたちの感覚や好奇心を刺激する実践も行われてきました。ここでは、教育の歴史のなかで非常によく知られるイタリアの医学博士マリア・モンテッソーリを紹介しながら、彼女が独自の教育法を確立する上で参照した芸術家の実践や思想について紹介します。
時間:23分06秒
インストラクター
堀内 奈穂子
AITキュレーター / dear Meディレクター
エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、AITにてレジデンス・プログラムや展覧会、シンポジウム、企業プログラムの企画に携わる。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 何をなすべきか?東京」(2007)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012)アソシエイト・キュレーターを務める。国際交流基金主催による「Shuffling Space」展(タイ、2015) キュレーター、「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015)共同キュレーター。アーカスプロジェクト (2013) 、パラダイスエア(2015、2016)、京都府アーティスト・イン・レジデンス事業「大京都in舞鶴」(2017)のゲストキュレーターを務める。 2016年より、AITの新たなプロジェクトとして、複雑な環境下にある子どもたちとアーティストをつなぐ「dear Me」プロジェクトを開始。アートや福祉の考えを通した講座やワークショップ、シンポジウムを企画する。
サンプルレクチャー|Sample Lectures
サンプル Lecture 1「イントロダクション:芸術・まなび・こころを考える」(2:05秒)
サンプル Lecture 3「アート処方と多様な人々とのアートの体験」(2:22秒)